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PLANT COAST 02|サウナと音楽が交差する、鹿嶋の新しい“祝祭”のかたち
夏の鹿嶋に、またひとつ物語が刻まれた。PLANT COAST02が開催され、今回も地元、遠方問わず多くの人たちが集まった。会場はもちろんNO.12 Kashima Fan Zoneで開催され、絶好のロケーションの中開催された。
8月、No.12 Kashima Fan Zoneで開催された「PLANT COAST 02」。サウナと音楽、食と自然、そして人と人が交差するこのイベントは、前回を超える熱量と共鳴を生み出し、確かに「鹿嶋カルチャーの現在地」を示す場となった。会場に足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んでくるのはまるで都市の片隅に突如あらわれたユートピアのような光景が広がっていた。
今回のゲストは、CHEHONとRUEED。日本のレゲエ・シーンを長く牽引してきた二人の登場は、フェスの空気を一瞬で塗り替えた。サウナで汗を流し、冷水で身体を締め、外気浴で風を浴びたあと、鳴り響くベースラインとリリックが身体に突き刺さる。その感覚は、単なるライブ体験を超えて「身体全体で音を聴く」という原初的な歓びへと回帰させてくれる。
PLANT COASTの面白さは、この“循環”にある。サウナの熱、身体の汗、ビートのリズム、そして風と星空。人間の生理とカルチャーのリズムが見事に同期し、日常の延長では到底味わえない「非日常的な生活感」が立ち上がる。これは音楽フェスでありながら、同時にライフスタイルの実験でもあるのだ。様々なGUEST SOUNDの中でも、DJ KIXXX from MASTERPIECE SOUNDのプレイは圧巻で、会場はひとつになった。
フードエリアでは、地元の食材を活かした料理やドリンクが並び、来場者の五感をさらに刺激する。ビール片手に笑い合う友人たち、かき氷を頬張る子どもたち、見知らぬ者同士が自然と会話を交わし、つながっていく。そこに「祭り」の本質があった。縁日でも、バザーでも、マルシェでもない。だが、すべての“楽しい”が重なり合う瞬間が、ここには確かに存在していた。
日が暮れると、会場はさらに表情を変える。LEDが夜空に映え、音楽は熱を増し、サウナの蒸気は光を反射して幻想的な風景をつくり出す。人々は踊り、語らい、そしてととのう。音楽とサウナが交互に織りなす時間は、まるで呼吸そのもののようだ。吸って、吐いて。熱して、冷やして。また踊る。そのリズムは都市に生きる私たちがどこかで失いかけた「生きるテンポ」を思い出させてくれる。
「遊べ、踊れ、ととのえ。」このイベントが掲げるメッセージは、シンプルで力強い。だが、それは単なるスローガンではなく、この場で過ごした誰もが身体で納得する「実感」だ。鹿嶋という土地で、サッカーや漁業と並んで、新しいカルチャーが芽吹きつつある。その象徴こそが、”PLANT COAST”である。
段々と高まっていく熱と共に登場したのが”RUEED”と”CHEHON”。この2人のカリスマにより、さらに会場は熱を帯びていく。
このような盛り上がりは今まで鹿嶋ではサッカー以外では考えられなかった。来場者の声を拾えば、「ここまでサウナと音楽が融合するとは思わなかった」、「地元でこんなにクールなイベントが開かれること自体が嬉しい」といった感想が並ぶ。地方だからできないのではなく、地方だからこそできる。鹿嶋の風土とNo.12 Kashima Fan Zoneという場が、都市では成しえない「体験の密度」を可能にしているのだ。
PLANT COASTは、単発のフェスティバルではなく「文化の実験」である。鹿嶋の暮らしに新しいリズムをもたらし、地元の人々と外から訪れる人々をつなぎ、都市と地方を往復させる。この循環こそが、次の社会を形づくるヒントになるのかもしれない。
最後に、今回のイベントを振り返って残るのは「また戻ってきたい」という衝動だ。音楽の余韻、サウナの蒸気、笑い声、そして潮風。すべてが混ざり合い、時間を越えて身体に刻まれていく。
鹿嶋に生まれた小さな祝祭は、やがて大きな文化のうねりへと育っていくだろう。PLANT COASTは、その始まりのページを、確かに書き記した。